時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

統治制度

政党は宮内庁に介入できないのでは?

宮内庁法の第一条に、「内閣府に、内閣総理大臣の管理に属する機関として、宮内庁を置く」とあることから、先の天皇陛下と中国の習副主席との会談は、政治利用ではないとの主張があります。また、民主党の小沢幹事長は、ルールを曲げたことに対する羽毛田宮…

橋下知事は追従者か告発者か

昨日、大阪府の橋下知事が、民主党の小沢幹事長に対し、政治を陰で動かす”すごい人物”といった旨の発言をしたとの報道がありました。この橋下知事の発言の真意によって、知事自身の評価も左右するように思うのです。 もし、知事が、小沢幹事長を持ち上げるつ…

民主党の小沢幹事長は危険人物

かつて、古代ギリシャのアテネには、陶片追放という制度があり、独裁者となる怖れのある人物の名前を記し、多数となるとその人物は、アテネを去らねばならないことになっていました。この制度は、後に政敵追放の手段に変質することにより、本来の意味を失い…

似て非なる”地方分権”と”地方主権”

民主党政権では、地方自治体の権限拡大を促進することを目的として、”地方主権”なるスローガンを唱えるようになりました。これまでは、”地方分権”という用語が一般的には用いられてきたのですが、”地方主権”と”地方分権”、この両者は、似ているようで全く違…

子ども手当―政策見直しの制度を

民主党がマニフェストに掲げた子ども手当は、ついに、OECDから再検討を提案されたと報じられています。第三者から見ても、明らかにおかしいと見なされる政策については、それを止めさせる仕組みが必要なのではないかと思うのです。 この提案に対して、民主党…

国会議員の仕事は法を作ること

管副首相・国家戦略担当相は、国会議員を100人を行政組織に配置する法案を、1月の通常国会で通したい意向を示しそうです。この構想が実現されれば、国会議員の役割を踏み越えることになるのではないでしょうか。 真偽のほどは分かりませんが、管氏は、日…

マニフェスト方式からのステップ・アップを

そもそも、マニフェストを掲げて選挙に臨むという方法が導入された理由は、単に候補者を選ぶという方式では、”白紙委任”となるという欠点があったからです。各政党の基本方針がマニフェストに示されることで、国民は、自らの信条に照らし、好ましい政策を掲…

国家戦略局は違憲だった?

民主党政権の成立とともに国家戦略局が設置されつつも、その存在意義や権限が曖昧であり、すでに開店休業の状態とも伝わっております。考えても見ますと、そもそも、この国家戦略局の合法性が怪しいとも思えてくるのです。 何故怪しいのかと申しますと、国家…

民主党政権に自由と民主主義の尊重を願う

鳩山首相は、政権交代の意義について、官僚が支配した政治から”国民が主役”の政治への転換を訴えてきました。これから発足する政権が、どのような政策を行うかは未知数ですが、日本国が、自由と民主主義を尊重する国柄であることだけは、忘れないでいただき…

首相の資格条件は厳格に

大統領制を採用している国では、憲法に大統領の立候補資格を明記し、国を外国に売ったり、国家や国民に不利益を与えるような大統領が誕生しないよう、予め予防線を張っています。その一方で、議院内閣制を採っている国では、こうした資格に関する規定があり…

民主党の政治主導型は行政の独立性を侵害する?

官僚組織をよく観察してみますと、様々な役割を同時に果たしていることが分かります。)[Г亮更圈↓∨[Г篝策の立案、審判者、ぅ轡鵐タンク…などです。一般には、,亮更垉ヾ悗箸気譴討い泙垢、日本国では、△量魍笋肥大化したため、官僚主導型の政治として厳し…

民主党の政治主導型に潜む危うさ

昨日、NHKのクローズアップ現代という番組で、民主党の当選議員の方々が、政治主導に向けて官庁での活動を始めたことを特集しておりました。しかしながら、この活動ぶりから、改革の背後にある危うさをも透けて見えたのです。 番組には、母子加算の復活に…

民主党の暴走には安全装置を

事前の選挙結果の予測によりますと、明日の投票結果は、民主党の圧勝に終わるとのことです。この予測の如何は有権者次第ということになりましょうが、少なくとも、民主党が安定多数を確保した場合、その暴走を抑止し、破滅を回避する安全装置を、事前に検討…

集権的な手法による地方分権の矛盾

政界のみならず、経済界もまた、道州制の導入による地方分権を推進したいようです。しかしながら、この手法、地方住民の意向を素通りした、極めて集権的な方法なのではないかと思うのです。 そもそも、地方分権とは、地方自治の尊重の上に成り立つものであり…

姿の見えない道州制

マニフェストを読みますと、自民党も民主党も、基本的には、道州制の導入に賛成のようです。これでは、道州制の導入が決定されたも同じとなるのですが、単一型の集権制の方が効率がよい政策領域もありますので、果たしてこのまま政治主導で道州制に向かって…

地方分権は同床異夢?

最近、地方自治体の長を務める若手政治家の活躍が目立っており、大阪府の橋下知事や宮崎県の東国原知事など、地方分権を共通のスローガンにかかげて、政界に新たな旋風を巻き起こしそうな気配です。ところで、地方分権と言いましても、実のところ、地方の置…

有識者会議は民主主義の迂回路?

新聞によりますと、政府は、中長期的な社会保障政策や税制を検討するための「安心社会実現会議」なる有識者会議を新設するそうです。財政の危機的状況と度重なる財政出動から、将来の増税を既定路線化するための会議なのではないか、と予測されるのですが、…

G20―国際協調vs各国の政策くらべ

G20を開催する限りは、誰もが、国際協調を実現し、早期に合意を形成すべきと考えるものです。この観点から、麻生首相も、財政出動に反対しているドイツを協調を乱す行為として批判したのでしょう。しかしながら、こと経済の政策手法に関しては、一概に国…

追加経済対策有識者会議の危うさ

本日の新聞に、政府が、追加経済対策のための有識者会議を発足させた、との記事がありました(本日付日経新聞朝刊)。有識者の面々は、学者やエコノミストの方々のようですが、いささか疑問を感させる提言が多く含まれているように思うのです。 会議では、失…

国策捜査論は解決すべき問題

不正献金の廉で民主党の小沢代表の第一秘書が逮捕され、斡旋収賄も疑われている一方で、民主党は、この捜査は、民主党の党首を狙い撃ちにした国策捜査であり、検察の独立性を侵害するものだとして、非難しているようです。しかしながら、もし、小沢氏代表の…

道州制の導入は国家分裂への道か?

ここ数年来、政界から、道州制の導入により、地方主権の政治の確立を、といったスローガンが聞えてくるようになりました。しかしながら、道州制の導入は、方法を誤ると、国家分裂を招くかもしれないと思うのです。 そもそも、アメリカやドイツといった連邦制…

政治家の”口利き廃止”という政策

政治の世界がきれいではない理由は、政治家の”口利き”という行為にもあるようです。それでは、口利きがなくなりますと、どのような良い点があるのでしょうか。 1)社会保障政策が公平になります。生活保護や各種給付政策を受給するに際しては、政治家のコネ…

政府見解と政府解釈が国家に混乱を巻き起こす

近年、政府見解や政府解釈なるものが問題となる出来事が多く見られるようになりました。例えば、田母神氏の更迭は、「村山談話」や「河野談話」に述べられた政府見解が問題となりましたし、つい先日も、政教分離の問題をめぐり、内閣法制局の答弁が撤回され…

宗教団体が支持する政党は合憲なのか?

特定の宗教団体が国家権力を用いて布教活動をすることを違憲とした内閣法制局の答弁が、昨日、閣議決定で撤回されたと報じられています。加えて、この答弁では、”宗教団体が支援する政党に属する者が国政を担当しても、団体が政治権力を行使することにならな…

東宮職と外務省との分離を

宮内庁と東宮職との対立が表面化したことにより、東宮職が外務省の出身者によって固められていることが、問題の一端として明らかとなってきました。このことが、皇室を揺さぶっているとしますと、先ずは、東宮職と外務省との分離をはかるべきなのではないで…

外国人参政権―民主党は憲法を超えるのか

民主党は、結党以来、党是として外国人への地方参政権付与を掲げております。しかしながら、この法案を認めますと、ナチスと同様に、政党が、憲法を超える前例をつくることになるのではないでしょうか。 国籍法の改正に際しては、各政党とも、越権問題があり…

皇室が国民とともに歩むために

昨日の会見で、羽毛田宮内庁長官は、天皇陛下が体調を損なわれたのは、皇位継承など問題を憂いてのことであったと述べておりました。最近の皇室をめぐる状況を見ておりますと、皇室内の不協和音は、東宮家に端を発しているように思えるのです。何故ならば、…

暴走する最高裁判所

本日衆議院で可決された国籍法改正案については、最高裁判所の違憲判決を前提とした立法という意味において、極めて異例な立法であったと言えます。そもそも最高裁判所には立法請求権があるのか、という問題についての議論が抜け落ちており、釈然としない部…

国籍法改正案で生じる国籍と戸籍の分離問題

現在、国会に提出されております国籍法改正案は数々の問題点を含むものですが、さらに国籍と戸籍との関係からも、問題点を指摘しておきたいと思います。それは、国籍と戸籍が分離してしまう、という問題です。 日本国では、重婚は禁じられており、法律上の婚…

国籍法改正には国民投票が必要では?

現在、日本国では、憲法改正以外では、国民投票という方法を用いることができません。しかしながら、国籍法改正など、マニフェストに記載がなく、かつ、国民の中に反対の多い法案については、国民投票制度の導入を待ってからでも遅くはないと思うのです。 近…